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■ 経過 |
- 11月14日気管支鏡施行し可視範囲内では異常なし。TBLBも同時に施行されたが、異常は認められなかった。
去痰剤内服、禁煙とし、平成16年3月19日follow up CT施行。陰影は若干増大傾向にあり、6月11日再度TBLB施行するも異常所見は認められなかった。
8月10日確定診断目的にて、VATS(右肺中葉部分切除)施行。肺MALTリンパ腫と診断。化学療法目的にて、他院へ転院となった。
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■ 確定診断名 |
肺MALTリンパ腫(MALT lymphoma of the lung) |
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■ 考 察 |
- Lymphoma of mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)は、Isaacsonらによって提唱された粘膜関連リンパ組織(MALT)を起源とする節外性リンパ腫の総称である。肺MALTリンパ腫は、low-grade B cell lymphomaの一種で、全てのリンパ腫の中で最も予後が良い。治療は切除術、放射線治療や免疫抑制剤の投与であるが、一定した治療法はない。
- 肺MALTリンパ腫は無症状のことが多く、他の疾患で胸写を撮って偶然発見されることが多い。本症例でも検診の胸部単純X-Pにて異常影を指摘されたのが診断の契機となっている。呼吸器感染症との関連性示唆するを報告もあるが、異常ガンマグロブリン血症、シェーグレン症候群などの膠原病やAIDSで認められることが多い。
- 肺MALTリンパ腫のCT所見は多彩である。単発または多発する腫瘤、結節、ground glassopacity、円形または区域性のconsolidation、小葉間隔壁や気管血管周囲間質の肥厚として認められる。このうち気管支透亮像を伴うconsolidationと気管支血管に沿った結節影が特徴的とされている。
- consolidationは肺門側にも胸膜側にも認められ、一葉全体を侵す事はない。内部に気管支透亮像を伴う事が多く、空洞、石灰化や胸水を伴うことはまれとされる。
- 気管支透亮像を伴う場合は肺胞上皮癌があげられる。肺門側の気管血管周囲間質が肥厚する場合はnon-Hodgkinリンパ腫、癌性リンパ管症、その他のリンパ増殖性疾患があげられる。小葉間隔壁の肥厚と微細結節の集蔟がみられる場合は、サルコイドーシスがあげられる。
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■参考文献 |
- Knisely BL, Mastly LA, Mergo PJ, et al: Pulmonary mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma: CT and Pathologic findings. AJR 172: 1321-1326, 1999.
- 坂井修二,添田博康,志多由孝・他:肺MALTリンパ腫のCT所見.画像診断 21:399-405,2001.
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