■ 経過
  • 気管支拡張症の診断にて右下葉切除、その後右中葉切除と異所性気管支と思われる構造の結紮が行われたが、残存右肺に炎症を再発した。CTにて肝左葉の肝内胆管拡張を認め、肝内胆管と右主気管支との間に連続する管腔構造を認めたため、この時点で気管支胆管瘻と診断。肝左葉外側区切除及び瘻孔切除され、以後経過良好である。


■ 確定診断名 気管支胆管瘻

■ 考 察
  • 先天性気管支胆管瘻は1952年Neuhauserらによって報告されて以来、2004年のJonらの報告ではそれまでに24例の報告があるとしている。そのうち生後1ヶ月以内に診断されたものが12例、生後6ヶ月以内に診断されたものが14例で多くは乳幼児期に診断されている。最も年齢が高かったのは32歳である。
  • 性別は女性16例、男性8例で女性に多かった。瘻孔の胆道側はすべて肝左葉からであり、気道側は気管11例、右側気管支9例、左側気管支3例、不明1例であった。病因としては異常な気管支と異常な胆管の結合によるものという説と重複上部消化管に相当するものという説がある。
  • 瘻孔を介して胆汁が肺に達し、慢性的な呼吸器症状や反復する肺炎を起こす。
  • 画像診断は単純X線やCTでは診断がつきにくい場合があり、肝胆道シンチや胆道造影、気管支造影等が有用であり、MRIでも瘻孔が明瞭に描出されたとの報告もある。
  • 気管支と瘻孔を持つ肝内胆管と正常胆管との間には狭窄や閉塞を合併することがあり、それによって治療方針が異なってくる。造影にて正常胆管との間に狭窄や閉塞があれば肝切除や内瘻化が必要となる。狭窄がなければ瘻孔切除のみでもよいが、再発の可能性もあり、厳重な経過観察が必要である。

■参考文献
  1. Neuhauser EBD, Elkin M, Landing B. Congenital direct communication between biliary system and respiratory tract. Am J Dis Child 1952; 83: 654-659
  2. Jon S. Hourigan, Michael G. Carr, Edward M. Burton, Joel C. Ledbetter. Congenital bronchobiliary fistula: MRI appearance. Pediatric Radiology2004; 34: 348-350

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