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■ 確定診断名 |
亜急性連合性脊髄変性症(Subacute Combined Degeneration) |
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■ 経 過 |
胃切後、ビタミンB12の低下とMRI所見から、亜急性連合性脊髄変性症と診断し、メコバラミン筋注を開始した。症状は徐々に軽快し、退院となった。 |
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■ 考 察 |
- 亜急性連合性脊髄変性症は、ビタミンB12欠乏によって生じる脊髄の変性疾患である。ビタミンB12欠乏により、メチルマロニル助酵素Aからサクシニル助酵素Aへの変換が阻害され、メチルマロニル助酵素Aが蓄積し、その結果ミエリンの合成が阻害され、本症を発症すると考えられている。検査データとしては、相対的なビタミンB12の低下、大球性貧血が認められることもある。
- MRI所見は、脊髄後索(または側索)の“inverted V”、“inverted rabbit ears”と呼ばれるT1WIでの低信号、T2WIでの高信号が縦走することが特徴である。造影効果はほぼ認められない。
- 鑑別診断としては、Spinal cord infarction,Spinal cord contusion,Inflammatory demyelination,Infectious myelitis,Acute transverse myelitisなどが挙げられる。
- 治療は、ビタミンB12の筋注であり、発症から治療開始までの期間が短いほど予後が良いとされている。また治療開始までに長期間経過してしまった場合でも、治療開始により症状進行が停止し、緩徐ながら回復が期待できるとされている。
- 亜急性連合性脊髄変性症は、治療により回復が期待できるものであり、脊髄後索の異常信号を認めた場合、本疾患を疑うことは臨床上重要であると考えられる。
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■参考文献 |
- Ross et al: DIAGNOSTIC SPINE.。 2 32-35, 2004, AMYRSYS, Salt Lake City.
- 田口朋広,中野今治・他:ビタミンB12欠乏と亜急性脊髄連合変性.神経内科 61:329-333,2004.
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