■ 確定診断名 結節性多発性動脈炎疑い

■ 考  察 
  • 本症例は多発性に動脈が障害される疾患より血管炎症候群が考えられる。血管炎症候群の鑑別は必ずしも容易でなく、その疾患概念は混沌としているのが現状である。その、確定診断には障害血管レベルの特定に頼らざるを得ないのが現状である。本症例は小〜中型の大きさの動脈が障害されており、結節性多発性動脈炎を第一に疑わせる。

  • ちなみに、結節性多発性動脈炎の血管造影所見として、
  1. 1-5mm saccular aneurysm of small+medium-sized arteries in 65-75% as a result of necrosis of the internal elastic lamina
  2. Luminal irregularities + stenosis of arteries
  3. Arterial occlusions + small tissue infarctions
    との記載がある。障害部位として、腎(80-90%)と最も多く、消化管は50-70%程度で障害される。更に、本症例のごとく、消化管出血を生じるのは6%と報告されている。

■参考文献 
  1. Stanson AW, Friese JL, Johnson CM, et al. Polyarteritis nodosa: Spectrum of angiographic findings. RadioGraphics 21:151-159, 2001.
  2. Ha HK, Lee SH, Rha SE, et al. Radiologic feature of vasculitis involving the gastrointestinal tract. RadioGraphics 20: 779-794, 2000.
  3. 稲田 潔, 桑原尚志:血管炎症候群,血管疾患の臨床,稲田 潔,松本興治,正木久男編,金原出版,東京,2002,p203〜231.
  4. 白井博志,宮崎浩美,今井茂樹,他:結節性多発性動脈炎に起因する副中結腸動脈瘤破裂の1例. IVR会誌19:43-46,2004.

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