■ 考 察 |
- 脊髄動静脈奇形(spinal AVM)は、硬膜動静脈瘻(dural AVF)と硬膜内動静脈奇形(intradural AVM)に大別され、後者はさらに、髄内動静脈奇形(intramedullary AVM)と髄外(脊髄辺縁部)動静脈瘻(perimedullary AVF)に分類される1,2)。
- 硬膜動静脈瘻は、動静脈短絡が硬膜上に存在するタイプであり、多くは椎間孔近傍の硬膜にある。根硬膜動脈を流入動脈とする。流出静脈は、根静脈から硬膜内へ入り、脊髄表面の冠状静脈叢へ還流するタイプが多く、静脈圧亢進による脊髄循環障害をきたし、脊髄症状を呈する1)。よってMRIでは、T2強調像で髄内に高信号を認めることが多い1,2)。
- 髄内動静脈奇形は、nidusが脊髄実質内に存在するタイプである。流入動脈としては複数あるが、大部分は前脊髄動脈からの中心動脈が主流入動脈となっている1,2)。また発症形式は、ほとんどが(くも膜下出血や脊髄内出血による)突然発症である3)。
- 脊髄辺縁部動静脈瘻は、脊髄表面に動静脈短絡が存在するタイプである。後脊髄動脈や前脊髄動脈外側枝などから分枝する軟膜動脈を流入動脈とし、脊髄静脈、傍脊髄静脈を流出静脈とする1,3)。このタイプも、静脈圧亢進による脊髄循環障害により、MRI、T2強調像での高信号をきたしうる2,3)。
- 本症例は,血管造影にて前脊髄動-静脈間の動静脈瘻を認め、MR所見と併せ、脊髄辺縁部動静脈瘻と診断した。MR、T2強調像での髄内の高信号もこれとして矛盾しない。
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