■ 確定診断名 LT. adrenal cortical cancer with liver and lung metastasis
■ 経過
  • 画像所見、ホルモン検査より、肝転移、肺転移を伴ったホルモン産生副腎皮質癌の診断のもと、1月末に腫瘍摘出術および肝部分切除術を施行した。
  • 術後ACTHおよびコルチゾールの低下を認め、ホルモン療法を施行した。
  • 2カ月後の胸部CTでは肺転移巣は増大、増加しており、縦隔、肺野、腋窩のリンパ節に転移が疑われた。

■ 鑑別診断名 副腎皮質癌
  巨大副腎腺腫
  副腎転移腫瘍
  MFH
  副腎出血


■ 考 察
  • 副腎皮質癌の頻度は10万人に1人、全悪性腫瘍の0.05〜0.2(小児0.3〜0.4%)と稀な疾患である。
  • 機能性と非機能性(20〜40%)があり、一般的に腫瘍は大きく、通常5cm以上(平均12cm)である。30%に石灰化を伴い、IVC、肝、腎、横隔膜へ浸潤をきたすことがある。また肺、肝、リンパ節、骨、脳への転移をきたしやすい。大きく、石灰化を伴った腫瘤は癌を強く疑うが、転移のみが確実な所見とされる。画像所見としてはCTでは、中心の低濃度域(壊死巣)、不均一な造影効果(出血巣と内部壊死)、腫瘍の造影効果(88%)を認め、MRIではT1WIでは低信号〜高信号、T2WIで高信号(内部出血と壊死の存在による)、腫瘍の造影効果、中心の低灌流、wash outの遅延などが認められる。
  • 局所のみの画像所見では巨大副腎腺腫の鑑別は困難なことがある。

■参考文献
  1. Wolfgang Dahnert : Radiology review manual fifth edition,911
  2. 木村伯子:副腎.外科病理学,第3版 石川栄世ほか編、文光堂、東京、pp673-690,1999
  3. Weiss LM :Comparative histogic study of 43 metastasizing and nonmetastasizing adrenocortical tumors.Am J Surg Pathol 8 :163-169,1984
  4. Cohn K.,et al:Adrenocortical carcinoma. Surgery 100 : 1170-7,1986

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