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■ キー画像
CT-初診時
MRI-初診時
CT-10ヵ月後
MRI-10ヵ月後

■ 画像所見  初診時のdynamic CT では、比較的境界明瞭な腫瘤で、単純CT では低吸収を呈し、動脈相では肝実質と同程度の造影効果を呈し、遅延相では造影剤のwash out が認められた。
 MRIでは、T1強調画像(以降WI と略す) in-phase からopposed-phase にかけて信号低下が認められ、脂肪成分の含有が示唆された。T2WI では,境界明瞭な高信号腫瘤で、SPIO-MRIでは、周囲肝実質と比較し高信号を呈しており貪食能低下が認められた。この段階で、肝硬変などの肝機能障害がなく肝細胞癌の危険因子を伴わないものの、画像診断上は肝細胞癌の可能性を否定できないと考えたが、脂肪成分の含有が強く示唆され、肝細胞癌の危険因子もないことから血管筋脂肪腫の可能性も残ると思われた。小さいながらも肝細胞癌の可能性を重くみて、外科へ手術のコンサルトもなされたが、血管筋脂肪腫の可能性も残るとして患者さんと相談し、一旦経過観察されることとなった。2か月ごとにUSでの経過観察が行われ増大傾向が認められた。初診時から10か月後のdynamic CT およびSPIO-MRIでは明らかな増大傾向が認められた。
 単純CTでは、腫瘤の辺縁に低吸収域を認め、中央部は不均一な中から高吸収値を呈し、動脈相ではその内部構造に強い造影効果が見られ、遅延相では造影剤のwash out が認められた。
 10ヵ月後のMRI では、T1WI in-phaseからopposed-phase での低信号化が明瞭化され、脂肪成分を含む腫瘤であることが明瞭であった。10か月後の画像所見からは、第一に肝細胞癌を疑ったが、脂肪成分がかなり目立っていることより、頻度は低いが脂肪肉腫の可能性も考え手術が施行された。

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