■ 確定診断名 子宮外妊娠(間質部妊娠)

■ 経 過 画像と臨床所見より子宮外妊娠と診断され、腹腔鏡下にて卵管線状切開、MTX局注、子宮内容除去を施行した。間質部にGSが確認された。血中hCGは低下し、術後経過も良好。

■ 解 説 臨床的には子宮外妊娠疑いだろうということでUSを施行され、予想と異なる見え方だったため、MRIを施行し、間質部の子宮外妊娠と診断された症例です。

妊娠週数の数え方ですが、最終月経の開始を0週0日として数えていきます。市販の妊娠検査薬(尿検査)が陽性とでるのは4〜5週あたりです。正常妊娠であれば、通常は妊娠6週で100%近い確率で、子宮内腔にGSが確認できるといわれています。また経験的に正常妊娠であれば、血中hCGが2000IU/l以上であれば100%近くで子宮内にGSが見えるといわれます。(なお、尿中hCGは最初の簡単な市販の妊娠検査薬では使用されていますが、日内変動があるので、定量化するには血中hCGをはかります)
この症例は妊娠6週になりますので、正常妊娠であればGSは見えるはずです。よって正常妊娠ではないと判断されます。ちなみに妊娠6週でGSは約2cm、7週で約3cm、8週で約4cmです。

子宮外妊娠は100妊娠につき1例の割合で発生します。子宮外妊娠の98%は卵管妊娠で、卵管内での部位別では、峡部妊娠12.3%、膨大部妊娠79.6%、間質部妊娠1.9%となります。卵管以外では腹膜妊娠1.4%、卵巣妊娠0.15%、頸管妊娠0.15%です。

一昔前までは子宮外妊娠の治療は開腹手術が施行されていましたが、最近では卵管線状切開やメソトレキセート局注など、より侵襲性の少ない治療が選択される傾向にあります。

■参考文献
  1. 今岡いずみ,田中優美子:子宮外妊娠.婦人科MRIアトラス.秀潤社,2004,108-11.
  2. 荒木力:子宮外妊娠中絶.ここまで分かる急性腹症のCT.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2002,38-42.
  3. 田村綾子:子宮外妊娠破裂.臨床画像2008年4月増刊号‘若手放射線科医が知っておきたい腹部救急の画像診断’.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2008,162-5

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