■ 確定診断名 神経サルコイドーシス

■ 解 説  サルコイドーシスは多臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の疾患である。神経症状を呈する患者は約5%とまれだが、画像上は約10%に中枢神経病変を認める。全身病変を認めず、神経病変のみ認めるサルコイドーシスも1%以下と極めてまれながら存在する。症状は病変の部位や範囲によって様々で、予後も様々である。顔面神経麻痺や視力障害が多い。その他頭痛や痙攀、髄膜刺激症状などが挙げられる。
 中枢神経系での典型的な画像所見は脳底部の髄膜の肥厚と造影効果だが、骨や硬膜、神経根、脳実質などいずれの部位も個々に、もしくは同時に侵される。脳神経を侵す場合、臨床症状と画像所見の解離が特徴で、多くは画像所見を認めるにもかかわらず臨床症状は認めない。もしくは逆に臨床症状を認めるのに画像所見を認めない場合もある。臨床的にどの脳神経も侵されるが、最も多いのは顔面神経であり、一方画像上最も病変が多いのは視神経である。
 視神経は視神経交叉や視神経眼窩部が侵され、両側の場合も片側の場合もある。視神経病変の場合、鑑別診断として視神経炎や視神経膠腫、特発性眼窩炎症、Wegener肉芽腫症、悪性リンパ腫など挙がる。

■参考文献
  1. Smith JK, Matheus MG, Castillo M. Imaging manifestations of neurosarcoidosis.AJR Am J Roentgenol.
    2004 Feb;182(2):289-95
  2. Koyama T, Ueda H, Togashi K, et al. Radiologic manifestations of sarcoidosis in various organs. Radiographics.  2004 Jan-Feb;24(1):87-104.

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