県内では、年間約5000人の新規患者さんに放射線治療を行っています。疾患別では、乳癌、頭頚部腫瘍、肺癌、食道癌、前立腺癌、脳腫瘍、子宮頸癌などが多くを占めますが、ほとんど全ての悪性腫瘍の治療に関係しています。
放射線治療は、リニアックなどの放射線発生装置により作られた放射線を体の外部から照射する外部照射と放射線を放出する線源を体の内部に挿入する小線源治療にわかれます。


１） 外部照射

　放射線治療を行っている病院には外部照射装置と治療計画用のコンピュータがあります。外部照射装置とはＸ線や電子線など悪性腫瘍を制御できるだけの高いエネルギーをもった放射線を体の外から病巣部に照射する機器でリニアック（直線加速器）がもっとも多く用いられています。外部照射を行うためには、病変部位のＣＴを撮影し、そのＣＴ画像を元に治療計画用のコンピュータを使って、病変の部位と広がりや周囲の正常組織を３次元的に評価しします。続いて治療効果を最大にして、副作用を最小にするように線量分布図などを評価しながら照射方法を決めます。放射線を病変部に集中して照射することが最も重要で、３次元原体照射(3D-CRT)という方法が用いられます。これはそれぞれ病変部の形に応じた形状の放射線をいろいろな方向から集中させることで、周囲の正常組織への影響をなるべく少なくさせる方法です。毎回の治療の時には患者さんの体位を正確に合わせてから放射線照射を行います。１回の外部照射治療は数分程度で終わりますが、病気や病態に応じて数回から数十回にわけて行うことが多いので、すべての治療が終わるまでに1ヶ月半ほどかかることもあります。

（図）前立腺癌に対する3次元原体照射の線量分布図。 前立腺とその周囲に高線量照射部位が限局している