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放射線科
放射線診断
放射線診断(画像診断)にはX線を使った装置での検査とX線を使わない装置での検査があります。以前はX線を使った検査だけでしたので放射線診断と呼ばれていましたが、最近は画像診断と呼ばれる事が多くなりました。X線を用いた検査には、単純X線撮影(胸部写真や骨、乳房撮影など)、透視撮影(消化管検査)、血管造影検査、X線CT などがあります。X線を用いない検査には超音波検査(US)、磁気共鳴検査(MRI)などがあります。そのほかPET検査などの核医学も画像診断に含まれます。
いずれの検査も30年前まではアナログデータでしたが、最近はすべてデジタル化されています。
ここでは、X線CTMRI超音波(US)PET/CTについて述べます。

CT(Computed Tomography:コンピュータ断層)


X線CTを通常CTと称しています。CT装置はX線を用いて人の体の横断断層面を撮影する機器です。1970年代にCTが登場して以来、その性能は目覚しく発展してきました。
最初は撮影時間が長いため呼吸などで動かない頭部の検査に用いられましたが、撮影時間が短く分解能も細かく見えるように改良され、躯幹など頭以外の検査にも使われるようになりました。
体の回りをX線管球と対になった検出器が回転し、体を通過したX線をコンピュータを使って場所合わせと数値化し、その数値を白黒表示して画像を得ます。現在は1回転するのに0.5秒以下の高速ですが、以前は10秒近くかかっていました。最近の装置では4cm幅を1回転で16枚とか64枚のように複数の断層像が得られるます(マルチスライスCTとか多検出器列CTとか呼ばれます)。そのため数秒で胸部から骨盤部までを撮影することができます。昨年末、16cm幅を1回転で320枚の画像として撮影できる装置が日本から発表されました。勿論撮影時間は0.5秒以下です。被ばくが少なく、短時間でより詳細に描出できる装置が開発されています。

縦・横・高さ方向(体の前後、左右方向と頭からつま先までの高さ方向)が同じサイズの正立方体のvolume dataとして体を断層表示することができるようになったことから、色々な方向からひずみのない3次元画像として観察できるようになりました。(以前はX・Y軸は1/5mm程の小さなサイズでしたが、Z軸方向はmm単位の立方体として表されていました。)
静脈から造影剤を注入すれば、病変部をより鮮明に描出できます。病変があるかないか、あればそれが悪性かどうか、悪性ならどこまで広がっているかなど正確に評価できます。さらに、従来行われていた血管造影とほぼ同等な細かな血管も描出できますので、血管造影検査はどうしても必要というときだけに行われる限られた検査となりました。
広島大学病院 16列CT
広島大学病院 64列CT
撮影スピードが早くなったので、造影剤を注入しながら、繰り返し撮影すると動脈のみを描出できる時期と静脈を主に描出できる時期とにわけることも可能です。がんなどの病気がある場合には動脈と静脈を別々に表示したり、両者を同時に描出し、がんと血管との相互関係を評価します。手術の術式を決定するのに重要な情報となります。また肝移植の場合には、移植される肝臓がドナーにとって安全な範囲内の切除であるか、またレシピエントにとってそれが十分な容積であるか、肝臓の容積を知る事は重要ですが、それも知る事ができるようになりました。また最近は腫瘍の摘出を内視鏡的に行うことが多くなりましたが、大きく開いて手術する場合と異なり視覚的に狭いのであらかじめ血管など重要な臓器がどこにあるかその情報をあらかじめ知っておくことは大切です。
患者さんに負担の少ない検査としてCTは重要な役割を持っています。
後述のMRIと相補的に使われますが、すべての臓器が対象となります。


検査方法の種類
<単純CT検査>造影剤という薬剤を使用しないで撮影する検査です。
<造影CT検査>造影剤という薬剤を静脈注射して撮影する検査です。
前述のように造影剤を使用することにより、病変をより明瞭に描出し、診断に役立てることができます。

検査時間
撮影部位、造影検査の有無により異なりますが、5分〜15分程度です。

造影CT検査でのお願い
検査の4時間前から絶食です。水やお茶などの水分はお飲み頂いて結構です。


CT検査で用いる造影剤について(Q&A) >>

MR(Magnetic Resonance:磁気共鳴)
広島大学病院 3TMRI


MRI(MR Imaging:磁気共鳴画像)とは、X線を使うことなく強い磁場と電波を用い体の内部の状態を検査する方法です。骨に邪魔されずコントラストの良い画像が得られ、また様々な角度の断面をとることができます。体の断面が鮮明にうつしだされますので、病気の診断に大変役立ちます。特に脳や脊髄、脊椎、関節、子宮、前立腺などの疾患の評価に重要な役割を果たします。
MRアンギオグラフィーという方法を使って体の中の血管をうつしだすこともできます。最近では急性期脳梗塞の診断に役立つ拡散強調画像の他、体内の代謝物質を評価するMRスペクトロスコピーや神経細胞の興奮状態を調べる脳機能画像も臨床に応用されています。

  膿瘍と錐体路(神経路)の位置関係を描出したMR画像。
矢頭は脳膿瘍矢印は拡散テンソル像を用いて描出した錐体路

MRIはX線を使っていませんので被曝の心配はありませんが、とても強い磁場の中で検査を行うため、金属に関する特別な注意が必要です。心臓ペースメーカーや人工内耳を身につけている方は検査が行えません。また脳動脈クリップなどその他の体内金属についても危険な場合があります。
検査を受けられる患者様で体の中に金属がある方は必ず申し出てください。

検査時間は撮影部位などによっても異なりますが、20分〜40分程度です。


超音波(Ultrasound:US)

山彦は声が空気を伝播し山で声が反射して聞こえます。魚群探知機やソーナーも海中を伝わりながら音にとって抵抗の違うものに当たると反射します。USはこれを応用したものです。ヒトの体では音速は組織によって多少の違いはありますが、平均すると1秒間に1530mです。音は物の振動によって生じますが、振動が段々速くなると、発生する音は聞こえなくなり、人間の耳では聞く事のできない位に振動数が高い音を超音波と言います。
一般に超音波装置で用いられる超音波の周波数は3.5〜5MHz(1MHzは1秒間に100万回の振動を表します)で、検査部位や用途に応じて1MHzの低い周波数とか20〜30MHzの高い周波数が用いられる事もあります。5MHzの周波数では0.75mm以上のものが識別できます。臓器の細胞組織のように波長より小さな無数の反射体が集合しているような場合は、それぞれから生じる反射波や散乱波がお互いに干渉して点状の反射エコーを生じます。散乱波によるが互いに干渉しあって出来た干渉縞ですが、臓器が障害されるとこの干渉縞が変化しエコーパターンの変化として捉えられます。音を発射し、その直後から受診を始め、さまざまな深さからの反射エコーを受診しながら、エコーが受診されるまでの時間を測定すれば、どのくらいの深さからの反射エコー信号かを知ることができます。通常20〜25cmの深さまで診断できるように装置が作られていて、1秒間に3000〜4000回の超音波の送受信が行われています。反射の強さを白黒表示します。

体に触れる装置を探触子(プローブ)と呼び、超音波を送受信する振動子やそれと附属する整合層、音響レンズなどが含まれた装置の総称です。体外からの検査以外にも、用途に応じて術中プローブ、体腔内プローブなどさまざまなものが作られています。体外走査ではプローブと体の間に空気があると強い反射が起こり効率的な送受信が出来ないので超音波ゼリーを塗ります。


オーストリアの物理学者Dopplerによって発見された現象(救急車のサイレンは近づく時と遠ざかるときの音が異なる現象)を利用して血液の流速を求めたり、流れの方向、ばらつきなどを評価します。流速を色で表現すればカラードップラとなります。心臓の検査だけでなく腹部の血流(門脈や静脈)にも用いられます。
最近は超音波用の造影剤も開発され、腫瘍の診断に用いられています。
被ばくしない検査なので、腹部の臓器のみならず小児や妊婦では最初の検査として使用されます。
肝臓がん造影剤投与後40秒 100秒後



PET/CT(Positron Emission Tomography/CT)
がんの診断にブドウ糖と同じ構造を持つFDG(2-(18F)-fluoro-2-deoxy-D-glucose:18F標識フルオロデオキシグルコース)が用いられるようになり急速に普及しました。もともとは脳の研究に用いられていたのですが、がんではブドウ糖代謝がさかんであることを利用しています。天然のブドウ糖はがん細胞に取り込まれても代謝を受け細胞外に出てしまいますが、FDGはそのまま代謝されないで細胞内に蓄積されます。がんのみでなく炎症性病変にも集積するのでがんかどうかの評価が難しい場合もあります。
CTやMRIのように形態の変化を診断する「形態画像」に対し、FDG-PETは糖代謝の亢進を画像化して診断するもので「機能画像」と呼ばれます。
原子核の崩壊過程で放出された陽電子(ポジトロン)は近くの電子と衝突して、511keVのエネルギーを持つ放射線(消滅放射線)を180度方向に2本出します。これを対抗する2つの検出器で捕らえ断層画面を作ります。これがPET検査です。CTとPETが一体化した装置をPET/CTと呼びます。

保険適応となる検査とならない検査とがあります。
肺癌、乳癌、大腸癌、頭頸部癌、脳腫瘍、膵癌、悪性リンパ腫、転移性肝癌、原発不明癌、食道癌、子宮癌、卵巣癌と、てんかん、虚血性心疾患は保険適応です。
がんの病期診断、再発診断のような病変の検索には保険が適応となっていますが、すでに分かっているがんに対し、治療効果判定を目的とした検査は適応にはなりません。
また、がん検診も保険適応ではありません。

検査には最低4時間絶食後に、FDGが注射されます。その後1時間安静にして、排尿後検査します。検査を受けた人は一時『線源』として検査後1時間程度回復室に滞在します。
18Fの半減期は110分ですが、有効半減期は100分とかなり長い生物学的半減期を有しています。そのため検査後は人ごみを避け、乳幼児や妊産婦との接触を控える必要があります。13時間たてば体の表面からの線量は測定できない限界値以下になりますので、帰宅後の小児との添い寝は検査当日の夜まで避ければ十分です。

中電病院 PET/CT

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